1910年代-1930年代

3-2. 前衛から近代デザインへ

構成主義、ダダ、デ・ステイル、バウハウス、シュルレアリスムを扱います。前衛芸術が、政治、出版、教育、建築、タイポグラフィ、無意識の表現へ広がり、現代デザインの骨格を作っていきます。

このページで見ておく3つのポイント
  • 政治・出版・教育への接続
  • 幾何学と合理性の確立
  • 偶然や無意識の視覚化
3-2. 前衛から近代デザインへの象徴的な参考画像
画像1: Bauhaus Masters' Houses in Dessau / Walter Gropius、撮影 Spyrosdrakopoulos / Wikimedia Commons
出典

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Constructivism 構成主義

構成主義って何?

ロシア革命前後に生まれた、芸術を社会や産業、政治的メッセージへ結びつける前衛運動です。斜め構図、赤黒白、写真と文字の合成によって、見る人に行動を促す強い視覚を作りました。

時代・潮流
1910年代-1920年代
ロシア革命前後に抽象形態を社会・産業・宣伝へ接続する動きが強まったため、ここでは「1910年代-1920年代」とした。
Constructivism 構成主義 の参考画像
画像1: Beat the Whites with the Red Wedge / El Lissitzky(エル・リシツキー) / パブリックドメイン
出典

リシツキーやロトチェンコの構成主義は、抽象形態を絵画の中に閉じず、ポスター、出版、展示、社会的メッセージへ展開した潮流です。斜めの力、写真や文字の統合、赤黒白の強い対比によって、見る人を行動へ動かす視覚言語を作りました。

デザインの特徴
斜め構図、赤黒白、写真コラージュ、太い文字、緊張感。
代表的な人物・作家・参照文化
Constructivism 構成主義 画像2
画像2: Wendingen / El Lissitzky(エル・リシツキー) / Wikimedia Commons / National Gallery of Art, Washington / CC0 1.0
出典 / ライセンス

オランダの建築・芸術誌の表紙で、文字、円、矩形、余白が一つの建築的な画面として組み立てられています。シュプレマティスム由来の抽象形態を、出版物・タイポグラフィ・情報伝達へ接続している点で、構成主義の実用的な方向性をよく示します。

Constructivism 構成主義 画像3
画像3: Clown Pierrot / Aleksandr Rodchenko / Google Arts & Culture / MOMus - Museum of Modern Art - Costakis Collection
出典 / ライセンス

ロトチェンコが人物を三角形、円、台形などの幾何形態へ分解し、舞台衣装の構想として再構成した作品です。構成主義が絵画の平面だけでなく、演劇、身体、衣装、パフォーマンスへ広がっていたことを示しています。装飾的な曲線ではなく、構造を見せる形の組み立てが中心にあります。

Constructivism 構成主義 画像4
画像4: Billiard Players / Varvara Stepanova(ヴァルヴァラ・ステパーノワ) / Wikimedia Commons / パブリックドメイン
出典

Varvara Stepanova(ヴァルヴァラ・ステパーノワ)は、人物を写実的な身体ではなく、線、面、角度、運動の構成として捉えました。この作品ではビリヤードをする人々が、幾何学的なパーツと動きのリズムとして組み立てられています。構成主義をロトチェンコだけでなく、舞台、衣服、身体、印刷へ広がる集団的な造形運動として見るために重要な例です。

Constructivism 構成主義 画像5
画像5: Lengiz. Books in All Branches of Knowledge / Aleksandr Mikhailovich Rodchenko(アレクサンドル・ミハイロヴィチ・ロトチェンコ) / DigitalCommons@RISD / Fleet Library, Rhode Island School of Design
出典

Aleksandr Mikhailovich Rodchenko(アレクサンドル・ミハイロヴィチ・ロトチェンコ)の《Lengiz. Books in All Branches of Knowledge》は、女性の写真、叫び声のように広がるタイポグラフィ、赤・黒・白の強い斜線を組み合わせた出版広告です。情報を静かに読ませるのではなく、見る人へ直接呼びかけて行動を促す点に、構成主義のポスター表現がよく表れています。

文房具カフェの視点

構成主義では、写真、活字、赤と黒の強い色面が印刷物の中で組み合わされました。文房具的に見ると、切り貼り、版下、活字組みが政治的メッセージを加速させた例です。紙面が単なる表現の場所ではなく、社会に向けて働きかける装置になっています。

アート史という点では、印象派くらいまではおおよその流れが直感的にもつかみやすいのですが、ポスト印象派以降、特にこの構成主義の時代あたりまで来ると、それぞれのジャンルや特徴を把握するのが困難になる人が多いですね。

なので、次のダダに行く前に、このあたりの流れを後ほどざっと整理しておきたいと思います。

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構成主義への批判・対抗意識から次の潮流へ

構成主義は芸術を社会へ接続しましたが、政治的プロパガンダと結びつくことで、表現の自由が制度に従属する危うさも持ちました。その緊張は、バウハウスやスイス・スタイルの情報設計を考えるうえでも重要です。

流れの整理

古典の秩序から、反芸術としてのダダへ

印象派までは風景や光の変化として流れを追いやすい一方、20世紀に入ると、同じ時代に複数の前衛運動が並走します。ダダに入る前に、ここでは「何に反応して次の表現が出てきたのか」を短く整理します。

  1. 新古典主義
    The Oath of the Horatii のサムネイル
    David, Oath / 出典
    古代ギリシャ・ローマを手本に、理性、均衡、明快な構図を重視します。美術は秩序ある理想像を示すものと考えられました。代表作はJacques-Louis David(ジャック=ルイ・ダヴィッド)の《The Oath of the Horatii》です。
  2. ロマン主義
    Liberty Leading the People のサムネイル
    Delacroix, Liberty / 出典
    理性だけでは捉えられない感情、自然の崇高さ、個人の内面へ向かいます。整った規範より、揺れや劇的な体験が前に出ます。代表作はEugene Delacroix(ウジェーヌ・ドラクロワ)の《Liberty Leading the People》です。
  3. 写実主義
    The Stone Breakers のサムネイル
    Courbet, Stone Breakers / 出典
    神話や英雄ではなく、労働者、都市、日常の現実を描きます。何を美術の主題にしてよいのか、対象の範囲が大きく広がりました。代表作はGustave Courbet(ギュスターヴ・クールベ)の《The Stone Breakers》です。
  4. 印象派以降
    Impression, Sunrise のサムネイル
    Monet, Impression / 出典
    光、色、視覚体験を分解し、ポスト印象派では形や構成、作家ごとの見方が強まります。ここから美術は「見たまま」より「どう捉えるか」へ進みます。代表作はClaude Monet(クロード・モネ)の《Impression, Sunrise》です。
  5. 前衛の時代
    Trees at L'Estaque のサムネイル
    Braque, Trees / 出典
    キュビスム、未来派、シュプレマティスム、構成主義などが、対象を分解し、速度、機械、社会、出版へ接続します。表現は絵画の外へ出ていきます。代表作はGeorges Braque(ジョルジュ・ブラック)の《Trees at L'Estaque》です。
  6. ダダ以降
    Fountain のサムネイル
    Duchamp, Fountain / 出典
    第一次世界大戦を背景に、合理性や権威そのものへの不信が高まります。ダダ以降は、「芸術らしさ」を疑う態度が、シュルレアリスム、フルクサス、パンク、ZINEのような批評的表現へ広がっていきます。代表作はMarcel Duchamp(マルセル・デュシャン)の《Fountain》です。

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Dada ダダ

ダダって何?

第一次世界大戦への反発から生まれた反芸術運動です。偶然、切り貼り、既製品、ナンセンスを使い、合理性や権威を疑う態度を作品化しました。整っていないこと自体が批評になります。

時代・潮流
1910年代-1920年代
第一次世界大戦中の1916年チューリヒを起点に、反芸術・偶然・ナンセンスが1920年代まで展開したため、ここでは「1910年代-1920年代」とした。
Dada ダダ の参考画像
画像1: MERZZEICHNUNG 47 (MERZ DRAWING 47) / Kurt Schwitters(クルト・シュヴィッタース) / Wikimedia Commons / パブリックドメイン
出典

Kurt Schwitters(クルト・シュヴィッタース)の《MERZ DRAWING 47)》は、小さな板の上に紙片や印刷物の断片を組み合わせ、偶然性と構成感を同時に見せるコラージュです。ダダでは、完成された美しさよりも、断片、既成物の転用、意味のずれが重要になり、合理的な秩序への不信が視覚的な衝突として表れます。

デザインの特徴
切り貼り、偶然配置、写真断片、文字の衝突、反ポスター的な構成。
代表的な人物・作家・参照文化
Dada ダダ 画像2
画像2: Cut with the Kitchen Knife through the Last Weimar Beer-Belly Cultural Epoch in Germany / Hannah Höch(ハンナ・ヘッヒ) / Wikipedia
出典

Hannah Höch(ハンナ・ヘッヒ)のフォトモンタージュは、新聞、雑誌、政治家、機械、身体の断片を切り貼りし、ワイマール期ドイツのメディア社会を鋭く批評しています。ダダをシュヴィッタースの廃材コラージュだけで捉えるのではなく、印刷メディアの断片を武器にして、性別、政治、都市生活の矛盾を組み替える運動として見るための代表例です。

Dada ダダ 画像3
画像3: Dada Head / Sophie Taeuber-Arp / Wikimedia Commons / Metropolitan Museum of Art object photo / CC0 1.0
出典 / ライセンス

木製の頭部に幾何学的な色面とビーズ状の要素を加え、人物像を心理的な肖像ではなく、仮面、玩具、機械的な記号のように扱っています。ダダの身体表現が、合理的な人体表現や伝統的な彫刻の権威を崩し、舞台・人形・抽象造形へ横断していくことを示す作品です。

Dada ダダ 画像4
画像4: Merz Blauer Vogel (Blue Bird) / Kurt Schwitters / Google Arts & Culture / Sound and Music
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新聞片、包装紙、印刷文字、赤い矢印、写真断片を組み合わせたメルツ作品で、商業印刷物や都市の廃材を詩的な構成へ変換しています。秩序だった絵画空間ではなく、偶然に見える断片の衝突からリズムを作る点に、ダダの反芸術的な姿勢とシュヴィッタース独自の構成感覚が表れています。

Dada ダダ 画像5
画像5: Glass Tears / Man Ray(マン・レイ) / Google Arts & Culture / Oscar Niemeyer Museum / © Man Ray 2015 Trust
出典 / ライセンス

涙を本物の感情ではなく、ガラス玉という人工物として顔に置くことで、写真、広告、美容、演劇性が混ざった奇妙なイメージを作っています。ダダからシュルレアリスムへ接続するマン・レイらしく、日常的な顔の一部を不自然なオブジェに変え、見る側の認識をずらす作品です。

文房具カフェの視点

ダダでは、新聞、写真、活字、チケットのような既にある紙片を切って貼ることで、既存の意味を壊していきました。きれいに描くのではなく、集めて、ずらして、ぶつける。はさみとのりが、かなり批評的な道具になっているところが面白いです。アートやデザインという文脈の中でダダの達成は、やはり「人間」という概念あるいは意味づけの解体にあったと思います。マン・レイのガラス玉の涙は、涙が溢れるという人間の感情や現象自体を物質化することで、わたしたちの悲しみや喜びとは一体なんなのか?という問いを立ち上げているように感じます。

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ダダへの批判・対抗意識から次の潮流へ

ダダは既存の美術や合理性への反抗でしたが、意図的な無秩序が単なる破壊や悪ふざけに見える批判もありました。その反芸術の態度は、シュルレアリスム、フルクサス、パンク、ZINEのような批評的表現へ流れ込みます。

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De Stijl デ・ステイル

デ・ステイルって何?

オランダで生まれた、垂直と水平、白地、黒線、赤青黄だけで普遍的な秩序を作ろうとした抽象運動です。個人の感情より、構成そのもののバランスを追求しました。

時代・潮流
1917-1930年代
1917年創刊の雑誌De Stijlを基準に、垂直水平・原色による普遍的秩序の探求が1930年代まで続いたため、ここでは「1917-1930年代」とした。
De Stijl デ・ステイル の参考画像
画像1: Composition II in Red, Blue, and Yellow / Piet Mondrian(ピート・モンドリアン) / パブリックドメイン
出典

モンドリアンの《Composition II in Red, Blue, and Yellow》は、垂直・水平、白地、黒線、原色だけで画面を成立させるデ・ステイルの代表的な構成です。個人的な筆触や物語を削り、普遍的な秩序を色面と比率で作ろうとする姿勢は、後のグリッド、UI、建築、家具デザインにも接続します。

デザインの特徴
垂直水平、黒線、白地、赤青黄、非対称バランス。
代表的な人物・作家・参照文化
De Stijl デ・ステイル 画像2
画像2: Red/Blue Chair (Rood Blauwe Stoel) / Gerrit Thomas Rietveld / Google Arts & Culture / High Museum of Art / Photo © 2015 High Museum of Art
出典 / ライセンス

椅子という実用品を、赤・青・黄・黒の面と線の関係へ分解した作品です。座るための家具でありながら、絵画、彫刻、建築の境界をまたぎ、デ・ステイルが目指した垂直・水平・原色による普遍的な秩序を生活空間へ移した代表例です。

De Stijl デ・ステイル 画像3
画像3: Café Aubette, Strasbourg, France (Color scheme for floor and long walls of ballroom, preliminary version) / Sophie Taeuber-Arp, Theo van Doesburg(テオ・ファン・ドゥースブルフ) / Google Arts & Culture / The Museum of Modern Art / © 2016 Artists Rights Society (ARS), New York / VG Bild-Kunst, Bonn
出典 / ライセンス

室内空間を壁・床・天井の装飾ではなく、色面と線の連続した構成として設計しています。デ・ステイルの平面構成が、絵画の枠を越えて建築やダンスホールの体験全体へ拡張されていくことを示す資料です。

De Stijl デ・ステイル 画像4
画像4: Painting No. I / Piet Mondrian(ピート・モンドリアン) / Google Arts & Culture / Kunsthaus Zürich
出典 / ライセンス

白地、黒い直線、限られた原色を使い、画面を最小限の関係性で成立させています。斜めに見える額装も含め、作品は対象の再現ではなく、線・面・余白の均衡によって秩序を作るデ・ステイルの考え方を端的に示します。

De Stijl デ・ステイル 画像5
画像5: Upper Interior of Rietveld Schröder House / Gerrit Rietveld(ヘリット・リートフェルト)、撮影 Olivermal / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
出典 / ライセンス

Rietveld Schröder House の上階インテリアでは、壁、窓枠、手すり、家具、照明が、黒い線、白い面、赤や青のアクセントとして室内に組み込まれています。遠景の外観よりも、デ・ステイルが絵画的な構成を生活空間へ移し、可動する間仕切りや開放的な窓によって、住まいそのものを線と面の実験場にしたことが分かりやすい例です。

文房具カフェの視点

デ・ステイルは、垂直、水平、赤、青、黄、白、黒という限られた要素で世界を組み立てようとしました。文房具でいえば、方眼紙や定規を使って、余計なものを削ぎ落としながら秩序を作る感覚に近いです。シンプルですが、実はかなり強い思想があります。モンドリアンは自然の色彩である「緑(Green)」を極端に嫌ったという逸話があります。彼にとって自然は「カオス」であり、真の秩序は三原色である「黄・赤・青」(YMC)にあると捉えていたようです。

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デ・ステイルへの批判・対抗意識から次の潮流へ

デ・ステイルは秩序と普遍性を追求しましたが、個人の感情や自然の複雑さを削り落とす硬さもあります。その厳密な抽象は、バウハウスやスイス・スタイルへ影響しつつ、後のポストモダンから批判される対象にもなりました。

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Bauhaus バウハウス

バウハウスって何?

1919年にドイツで始まった、芸術、工芸、建築、量産を結びつける造形教育の運動です。形は機能に従うという考え方を広げ、家具、建築、タイポグラフィなど現代デザインの基礎を作りました。

時代・潮流
1919-1933
Bauhausは1919年に創設され、1933年に閉鎖された学校であるため、この期間を中心年代とする。
Bauhaus バウハウス の参考画像
画像1: Bauhaus Dessau / Mewes / CC BY-SA 3.0
出典

バウハウス校舎は、教育、制作、生活、工房を一体化した近代デザインの実験場です。ガラスカーテンウォール、水平垂直の構成、機能が見える平面計画によって、装飾を加えるのではなく、建築そのものの構造と用途を視覚化するバウハウスの思想が表れています。

デザインの特徴
円、三角、四角、原色、水平垂直、用途が見える構成。
代表的な人物・作家・参照文化
Bauhaus バウハウス 画像2
画像2: "Staatliches Bauhaus, Weimar", basic colour and shape questionnaires for students of the Weimar Bauhaus / Vassily Kandinsky / Google Arts & Culture / Centre Pompidou
出典 / ライセンス

カンディンスキーが学生に行った、基本色と基本形態の対応を問う教材です。バウハウスが感覚的な装飾ではなく、色、形、知覚、教育を体系化しようとした学校であったことを示します。円、三角形、四角形と原色の関係を考える姿勢は、後のグラフィック、プロダクト、UI的な造形にもつながります。

Bauhaus バウハウス 画像3
画像3: Composition, from the Masters' Portfolio of the Staatliches Bauhaus, 1923 / Laszlo Moholy-Nagy(ラースロー・モホリ=ナジ) / Google Arts & Culture / Bauhaus Dessau Foundation / Stiftung Bauhaus Dessau (I 14258 G) / 画像提供: Google
出典 / ライセンス

1923年のバウハウス・マスターズ・ポートフォリオに含まれる、モホリ=ナジの抽象構成です。透明感のある幾何形態、斜線、重なりによって、絵画というより光、運動、視覚実験に近い画面を作っています。バウハウスが工芸や建築だけでなく、新しいメディア感覚を含む総合的な造形教育だったことを示す作品です。

Bauhaus バウハウス 画像4
画像4: B5 / Marcel Breuer / Google Arts & Culture / Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum / Museum purchase from General Acquisitions Endowment Fund
出典 / ライセンス

マルセル・ブロイヤーによる鋼管椅子で、バウハウスの機能主義と量産志向をよく示します。装飾を削ぎ落とし、素材、構造、座るという用途をそのまま形にしています。家具を職人芸の一点物ではなく、工業製品として再設計するバウハウスの方向性が見える作品です。

Bauhaus バウハウス 画像5
画像5: Universal-Schrift / Herbert Bayer(ヘルベルト・バイヤー) / Wikimedia Commons / パブリックドメイン
出典

Herbert Bayer(ヘルベルト・バイヤー)の《Universal-Schrift》は、大文字と小文字の慣習を整理し、幾何学的で合理的な文字体系を目指したバウハウスのタイポグラフィです。バウハウスを椅子や校舎だけで見せるのではなく、紙面、活字、情報設計の運動として理解するために重要です。文房具カフェの視点でも、文字を書く、組む、読むという行為が近代デザインの中心に入ってきたことを示します。

文房具カフェの視点

バウハウスでは、紙、定規、コンパス、色紙、基本図形を使った訓練が重視されました。高度な作品の前に、線、面、色、素材を手で試す学びがあり、デザイン教育と文房具の距離が近い潮流です。戦後バウハウスを継承したウルム造形大学は、電気シェーバーで有名なブラウン社と、様々な新たなデザインを生み出しました。このブラウン社で働いていたゲルト・アルフレート・ミュラーが、1966年にデザインしたのがラミー2000です。

次の章へ進む視点

バウハウスへの批判・対抗意識から次の潮流へ

バウハウスは機能と量産を重視しましたが、合理性が強すぎると生活の複雑さや装飾の喜びを抑え込むという批判も受けます。その緊張は、モダニズム、企業デザイン、そして後のポストモダンの反発へつながります。

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Surrealism シュルレアリスム

シュルレアリスムって何?

夢、無意識、偶然の連想を使い、現実の見え方を揺さぶる芸術運動です。普通の物を奇妙な場所に置いたり、異質なものを組み合わせたりして、理性では説明しきれないイメージを作ります。

時代・潮流
1924-1940年代
1924年のBreton『シュルレアリスム宣言』を起点に、夢と無意識の表現が戦間期から1940年代まで国際的に展開したため、ここでは「1924-1940年代」とした。
Surrealism シュルレアリスム の参考画像
画像1: The Forest / Max Ernst(マックス・エルンスト)
出典

Max Ernst(マックス・エルンスト)の《The Forest》は、森を写実的な風景としてではなく、こすり出しや偶然性を思わせる濃密なテクスチャの集合として見せています。シュルレアリスムでは、夢のような奇妙さだけでなく、日常の自然や物をずらし、無意識や不安のイメージへ変質させることが重要になります。

デザインの特徴
日常物の異化、不可思議な空間、コラージュ、象徴。
代表的な人物・作家・参照文化
Surrealism シュルレアリスム 画像2
画像2: The Persistence of Memory / Salvador Dalí(サルバドール・ダリ) / D'Argenta(サルバドール・ダリ / D'Argenta) / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
出典 / ライセンス

Salvador Dalí(サルバドール・ダリ)の《The Persistence of Memory》をもとにした立体作品です。柔らかく溶ける時計は、時間を固い制度ではなく、夢や記憶の中で変形するものとして見せています。シュルレアリスムの非合理な空間感覚を理解しやすいモチーフです。

Surrealism シュルレアリスム 画像3
画像3: Noire et Blanche / Man Ray(マン・レイ) / Wikimedia Commons / Cleveland Museum of Art exhibition photo / CC BY-SA 2.0 photograph by Tim Evanson
出典 / ライセンス

Man Ray(マン・レイ)の《Noire et Blanche》は、人物の顔と黒い仮面を横並びに置き、写真を単なる記録ではなく、異物の組み合わせによる詩的なイメージへ変えています。シュルレアリスムにおける写真は、現実を写す媒体でありながら、夢、欲望、視線の不安定さを作る装置にもなります。

Surrealism シュルレアリスム 画像4
画像4: Chess Set / Man Ray(マン・レイ) / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
出典 / ライセンス

Man Ray(マン・レイ)のチェスセットは、日常的なゲームの駒を抽象的なオブジェへ変換し、機能と夢のような異化を重ねています。シュルレアリスムにおける物のずらし方を理解しやすい作品です。

Surrealism シュルレアリスム 画像5
画像5: The False Mirror / René Magritte(ルネ・マグリット) / Wikipedia / Public domain in the United States
出典

René Magritte(ルネ・マグリット)の《The False Mirror》は、巨大な眼の虹彩を青空と雲に置き換え、見ることそのものを不確かなイメージへ変えています。眼は現実を正確に映す窓のように思われますが、ここでは空を内側に抱えた奇妙な絵画空間になっています。シュルレアリスムを、夢の風景や奇抜な物体だけでなく、視覚、認識、イメージの信頼性を揺さぶる運動として見せる代表例です。

文房具カフェの視点

シュルレアリスムでは、夢や無意識、偶然の連想を大切にしました。紙と鉛筆は、頭で整理する前のイメージを書き留める道具でもあります。自動筆記やコラージュを見ると、文房具が理性のためだけでなく、無意識をすくい取る道具にもなっているのが分かります。

次の章へ進む視点

シュルレアリスムへの批判・対抗意識から次の潮流へ

シュルレアリスムは無意識を解放しましたが、女性像や異文化の扱いに問題があると批判されることもあります。それでも日常を異化する方法は、ポップアート、サイケデリック、また現在の「生成AI的な違和感」へ受け継がれます。